複雑な根管形態の上顎6番

複雑な根管です。

口蓋根

遠心頬側根

近心頬側根

最終的には4根尖孔のように見えますが、イスムスだらけだと思われます。

抜髄根管ですので最も重要なのは感染させないことです。こういった歯をラバーダムも隔壁も無しで根管治療するのは自殺行為です。これが感染根管になってしまったら大ごとです。

根尖孔外に出てしまっていたガッタパーチャの除去

他院で数ヶ月治療したそうですが痛みが消えないとのことで当院に転院されました。画像はクリックで拡大します。


レントゲンで仮封の下に隙間があるのが確認できます。

仮封を外した状態です。これでは根管の中にばい菌が入り放題です。ちゃんとした根管充填がしてあっても細菌は根尖に到達するという研究があります。ガッタパーチャとシーラーによる根管充填は実は期待しているほどの封鎖性はないのです。

残っていたむし歯を除去してコンポジットレジンで隔壁を作ります。これで根管とその外部を遮断することができました。ラバーダムも掛けられるようになりました。これが根管治療では最も大切な処置です。隔壁を必要としない根管治療は実際の臨床では殆どありません。

回りくどい説明より動画をご覧下さい。治療は麻酔下で行っています。

MTAで根管充填後。根尖孔から下方に出ている不透過像はMTAだと思われますが横にあるのは取り切れなかったガッタパーチャなのかも知れません。ただし根尖孔から出たガッタパーチャが必ず病変の原因になるというわけではありません。

治療回数は二回でトータル120分程度でした。症状が消えなければ外科処置になります。

湾曲根管

下顎の7番の歯髄炎です。近心根の難易度が高そうです。

細くてS字状に湾曲しています。

ストレートラインアクセス。なるべく根管を単純化します。ブルーの部分を削ります。

左に見える二つの穴がそうです。これはニッケルチタンファイルではできません。ニッケルチタンを使うと根管を中心にして同心円状に拡大されてしまいます。それでは意味がありません。

根充後。シングルコーンで根充しました。

新しくしたガッタパーチャの所為かMTA系のシーラーの所為か、レントゲンのコントラストが良くありません。根管充填剤の造影性は案外重要です。