マイクロエンドサージェリー

 

先週末は休診にしてハンズオン(実習)を受講してきました。
マイクロエンドサージェリーというコースです。マイクロエンドサージェリーというのは顕微鏡下で歯根の先端を治療する外科的歯内療法のことです。事前にまる2日の座学を受講していないとハンズオン受講資格がないので、一年越しトータル4日のコースでした。マイクロエンドサージェリーはとても成功率が高い治療法で、従来の歯根端切除の成功率を大幅に上回っています。通常の非外科的根管治療にマイクロスコープを使用したからといって、成功率が大幅に上がるということはデータ上はないのですが、外科的歯内療法に於いては明確に違います。歯根端切除術のモダンテクニックといいます。モダンテクニックの成功率は90%を超えます。従来の方法は50%程度でした。

術式は明確に決まっていて、顕微鏡の拡大率までステージごとに指定されています。というと簡単なように聞こえますが難しいです。私にこなせるのは見やすい位置にある小臼歯頰側根までかな。上の前歯なら大丈夫です。いずれにせよ手術前にCTを撮影しますので、難しいと思ったらやりません。でも、その際もご安心ください。超一流の歯内療法専門医を紹介します。患者利益を考えるというのはそういうことです。東京ですから遠いですが、通院は一回です。

非歯原性疼痛

歯が悪くないのに歯が痛くなるということがあります。非歯原性疼痛といいます。昨日は信濃町の慶応病院でこのセミナーでした。

歯のせいじゃない歯の痛みの治療は専門医に診てもらうのが良いのですが、多くの患者さんが最初に選ぶのは歯科医院ですから、そこで道案内ができることは大切です。歯が悪くないのに歯の治療をしても痛みは止まりませんし、削った歯は元に戻せません。

昨日は同じ東京で、私の所属する学会の学術大会もあったのですが、こちらを選びました。何を学ぶかを探すには学術大会は良いのですが、当然ですが専門性はやはり個別のセミナーに分があります。たった一日セミナーを受講した程度でちゃんとした診断能力がつくとは思えませんが、勉強になった一日でした。なお、専門の医療機関などは日本口腔顔面痛学会ホームページに載っています。原因不明の歯痛でお悩みの方はご覧になってみてください。

歯根破折


治療後6年経過。
歯肉の状態も良く審美的にも満足できる状態だったのですが、脱離して来院されました。
残念ですが歯根が破折していました。フィステルができています。
応急的に再装着しましたが、抜歯するしかありません。


セット時です。歯肉のレベルは上の写真と比べて殆ど変化していません。むしろ左右の対称性は6年後の方が増しています。


術前。すでに削ってしまってあった歯の再治療でした。歯の強度は削除量が大きいほど落ちてしまいます。神経を抜く場合でも最小限の削除にとどめることが、その歯の寿命を延ばすことになります。神経を抜くと歯が脆くなると良く言いますが(勿論神経が残っていた方が良いのです)その最大の要因は必要以上に切削するからです。