奥歯の後ろ側の根元にあるむし歯の治療

親知らずの抜歯の説明に「こんな奥だと器具が入らないから」と言うことがあります。物理的に治療器具が到達不可能なものはどうやっても無理なのです。

下の写真は上の一番奥の歯の奥の面にできたむし歯です。ここを最小限の介入で治療するというのが今回のミッションです。この部位を選択的に削るのに最も重要なのは機材です。動画に出てくるこのチップが無ければ手も足も出ません。開発者の先生にはただただ感謝です。またこの部位に従来のやり方でラバーダム防湿を行っても大抵はゴムシートが浮き上がってきてしまって肝心の部位が隠れてしまうのですが、この特種なクランプ(歯を挟んでいる青いバネのような器具)によってそれを防ぐことができています。動画に写っているミラーは通常使われるミラーの四分の一程度の大きさです。これらのうち、一つでも欠けていたらこの治療は不可能です。ですから一般的には大きく削って型をとって被せる治療になりますし、それも宜なるかなと思います。

充填しているコンポジットレジンはどこにでもあるごく一般的な保険診療でも使用されている商品です。それで何の問題もありません。何を詰めるかでは無くどうやって詰めるかの方がずっと重要なのです。