咀嚼筋由来の歯痛(非歯原生歯痛)とパルピーター

非歯原生歯痛の原因のひとつに、筋・筋膜痛による歯痛/筋膜痛の関連痛としての歯痛があります。筋肉の痛みが歯の痛みとして現れるのです。従って歯の治療をしても痛みは消えません。
原因となる主な筋肉は咬筋と側頭筋です。
 
青い部分が側頭筋
青い部分が咬筋

検査はまず触診です。筋肉を1000グラムで圧迫しそれによって歯痛が再現されれば可能性は高くなります。そこをトリガーポイントといいます。パルピーターというこんな道具で圧迫します。

非歯原生と判断するのに重要なのは何かおかしいなと感じる歯科医の直感だと思います。そして何か手を下さないと報酬が無い保険制度に問題があるのですが、なんだか解らないのでレーザー当てておいたとか、解らないので取りあえずマウスピース作ってみたとかはどうかと思うわけです。治るのかも知れませんけど・・・

私が非歯原生歯痛について学ぶのはそれを治療するためではありません。筋膜痛以外にも非歯原生歯痛のパターンはいろいろあり、治療には薬物療法や認知行動療法などが必要なのですが当院でその対応は不可能です。つまり非歯原生歯痛の治療はできないのです。ではなぜ学ぶのかといえば、歯の所為で痛いわけではないのに誤って歯の治療に介入してしまわないためなのです。

最小限の切削が

最小限の切削が良いのは勿論そうなのですが、それが常に正しいとは言えないこともあります。

このケース。とても丁寧な治療がされています。金属と歯の適合は完璧ではありませんでしたが丁寧にむし歯の除去をしてありました。しかし残念ながら手を入れていない、つまり削っていない部位で新たなむし歯が発生していました。もし前の治療の段階でここまで削除して被せていたらこのむし歯はできなかったはずです。
色々な条件が複雑に絡み合う中で正しい治療方法がひとつだけではないと言うことですね。