下顎5番の扁平根管(根充後)

この症例の根充後のレントゲン(クリックすると拡大表示されます)。何の変哲も無い根管充填です。

これについては諸説ありますが、特種な根管形態を持った歯以外でニッケルチタンのロータリーファイルで拡大が終了した根管にはファイルと同じ規格で作られたガッタパーチャポイントを、MTA系のシーラーを使ってシングルコーンで根管充填しています。従って根管充填は数分で終わります。にもかかわらず、この歯の根管治療に費やした時間は120分程度です。通院回数は二回。いちばん時間を掛けたのは根管洗浄でした。

この写真を見ると、根尖孔は根尖には無いことが良く解ると思います。

セミナー

日曜は東京タワーの近くでセミナーでした。
ハンズオン(実習)も付いていましたが、安価(といってもそれなりの値段です)なセミナーのハンズオンはオマケのようなものです。

写真はガッタコアピンクでの根管充填。確かに簡単でした。術式がシンプルなのは良いことです。

午前中で実習は終えて、午後からはインプラントとエンドで歯を保存した場合の予後の比較の講義でした。私にとってはこちらがメインです。

これから秋までセミナーの受講が続きます。好奇心を持ち続けることが臨床を楽しくするためのビタミンです。

 

ブリッジかインプラントか?

左下5番の欠損。両隣が既に被せてあった状態で、しかもやり直しが必要だったのでブリッジで補綴する予定で銀色のクラウンを外しました。手前側は既に仮歯になっています。

外して中身をマイクロスコープで観察すると破折線を発見してしまいました。病変も無く症状も無いのですが将来トラブルが出る可能性は高くなります。ちょっとブレた見にくい画像ですが、赤丸の中が破折線です。

この歯にトラブルが出るということは、繋がっているブリッジごとダメになるということですから患者さんには大きな不利益が生じます。しかし破折線が有るからといって無症状の歯を抜歯するというのは、正しいのかどうかは解りませんが私はやりたくありません。治療計画を立て直して5番インプラント、467番はそれぞれ単独で補綴するということを提案して、患者さんの了承を得ました。将来トラブルが出てもブリッジになっていなければ単独の歯の処置で済むのです。

どんな選択が正しいのかは先になってみないと解りませんが、この破折線に気づかずに治療を終了し、将来トラブルが出た時に割れてしまったから仕方がないと説明するようなことは無いようにしたいものです。

というわけで、さっそくインプラントを埋入しました。技術的な難しさはこの部位ではブリッジの方が上です。下顎の大臼歯のシリコン印象は大変難しいのです。唾液と舌との戦いになるからです。