停電

今日、停電がありました。
1時間の予約で根管治療の患者さんが来院していたのですが、なにもできませんでした。本当に申し訳ありません。
その後30分ほどで復旧したのですが、どのみち残りの30分では治療になりません。
空いた時間で治療器具を自作していました。


根管内破折器具を除去するループです。

石灰化した歯髄


歯髄に達するむし歯です。痛みもありますから神経を抜きます。上顎第一大臼歯ですから通常3根です。

 


赤い線は頰側根の歯髄腔ですが、青い円の中の口蓋根の歯髄腔(神経の入っている根の中の空洞)がよく見えません。

 


抜随すると口蓋根管の中からこんな歯髄が出てきました。生活歯髄です。半分石灰化してます。堅いです。

歯髄の石灰化については諸説あるようですが、これは第三象牙質(病的第二象牙質)なのだろうと思います。専門書にはスイスチーズ様の構造を示すと書かれていますが、スイスチーズの構造を知らない(笑)。

この症例ではこれがスポッと抜けてきたので治療がやりにくくなるという程のものでもなかったのですが、これが根管内に残っていると何故か電気根管長測定器が非常に不安定になります。

 

 

3Shape TRIOS3

私はもうこの分野の進化を追い続けるのはやめたので、導入することはないと思いますが、先頭を走っているのは3Shapeというメーカーです。名前を初めて知ったのは当院がセレックを導入する頃でした。セレックは例えていえばMacのようなもので、ソフトがハードを選びますが(Appleの製品でしかMacOSは動かない)、3Shapeは当時からオープンソースを謳っていました。ただその頃は情報が錯綜しており、またミリングマシンも揃っておらず、院内でスキャンしてミリングするという形で導入したという話は殆ど聞こえてきませんでした。その点、セレックは安心して使えたのです。スキャナとミリングマシン間でキャリブレーションが殆ど必要無いのは、セレックシステムだからこそだったのだと思います。

セレックも当院のCEREC3からずっと進化はしているのでしょうが、外野から見ている限りでは3Shape凄いなと感じます。

以前も書きましたが、光学印象は難しいです。私は歯肉縁下の光学印象は諦めています。メーカーは盛んに直接口腔内で光学印象することを推奨していましたが、年に一度あるかどうかというよほど条件の良い症例で幸運が手伝ってくれればできたのかも知れませんが、少なくとも私には無理でした。さんざんやってみましたが、今は通常の印象をしてセレック専用の石膏で模型を作ってそれをトリミングしてその模型を光学印象しています。あくまでも歯肉の下のレベルの話です。

スキャナが進化しても歯肉を圧排しなければ絶対に印象は採れません。そしてマージンの全てが直接見えなければ光学印象は成立しません。通常の印象も見えた方が採りやすいですが、印象材は見えないところにも入っていけます。


二重圧排法によるシリコン印象です。この印象をスキャンして三次元的に反転できれば良いと思うのですが、実現しているのかな? 技術的にはそう難しいことではないように思うので、セレックを買った時にメーカーの方に提案したことがあります。印象操作を介するということはセレックのインセンティブがなくなることになるからやらないのかもしれません。

最初に書いたとおり、この分野の知識は私の中ではあまり更新されていませんので、今回のこの記事はひと世代前の機器ユーザーの戯れ言程度と思ってください。