10月12日の診療について

明日は台風の直撃の恐れがあります。前回の台風では私の町内にも避難警告が出ました。幸い当院は警告の範囲外でしたが最近の気象は異常ですね。

既にご予約の方にはこちらから連絡を差し上げましたが、休診の可能性もあります。来院を希望された方も安全の確保を最優先にしてください。

メタルセラミッククラウンで補綴した前歯の外科的歯内療法

術前。スクリューピンを除去し根管治療を行いました。

根管治療後、メタルセラミクスで補綴しました。隣の歯と連結しています。上の画像は治療3年後のレントゲンです。

サイナストラクトができています。再発です。補綴物には問題がありませんし、やれるだけのことはすでにやってあるわけですから再根管治療しても無駄ですので、歯根端切除術を提案し了承していただきました。切り札です。

この処置の敵はなんと言っても出血です。見えなければ顕微鏡治療の意味がありません。うまくコントロールできました。

縫合終了時。
一週間後に糸を抜きました。今回は珍しく術後に痛みがあったそうです。

術中の動画はこちらにあります。見たくない方もいらっしゃるでしょうから、いつものように直接ここに貼り付けるのは控えます。

追記 18ヶ月後の状態はこちら。

歯の神経がどうなっているのか?

何年も診断が付けられない歯があります。
クラウンが被っている歯です。

主訴は違和感。冷たいものにしみる。時々疲れた時に痛くなる。幸いどの歯なのかは特定できています。

風をかけると確かにしみます。再現性があります。叩いても痛みは無く、物を介在させて強く咬んでもらっても痛みはありません。この状態がもう5年くらい続いています。我慢できないほどの痛みがあるわけではないのです。

神経の生死はそこに流入する血液の流れがあるかどうかでしか判断できません。そしてそれを知ることは臨床的には不可能です。問診や歯髄の検査(冷たいものをつけてみるなど)はすべて間接的に行われるもので確定診断ではないのです。

結局歯髄を取ってみないと解らないのです。しかし取ってみて何もありませんでしたでは医療行為ではありません。取ってから組織検査をして実は炎症は全体には波及していなかったということだってきっと多いと思います。現在の歯内療法ではそれは歯髄保存療法の適応の可能性が高いのです。

歯髄の診断とは事程左様に難しいのであります。歯内療法を学べば学ぶほど神経を抜くという治療からは遠ざかっていきます。実際私も殆ど行っていません。ただし大きなむし歯になっていてレントゲンでも神経に達していて、ズキズキ痛いなどというケースは何の迷いもありませんからご心配いりませんし、一般的には歯科の診断はとても簡単です。これはごく少ない特殊なケースでのお話です。

歯髄診断の難しさはなかなか患者さんには伝わりにくく、優柔不断だとか診断力不足だとか思われがちなのでしょうが、必要のない侵襲を加えるのは避けなければなりません。曰く、地獄への道は善意で舗装されている。なんとかしてあげたいという善意が確かに善行だった時、初めて医療は祝福されるのです。