口腔顔面痛

歯が痛いと来院された方で、原因の歯を特定できないことがあります。
歯科医としては目の前で苦しんでいる患者さんをなんとかしてあげたいと治療に介入したくなりますが、原因が特定できない場合は触れません。触ってはいけないのです。

例えば上の図の中央付近のエメラルドグリーンの部位は、三叉神経節という所ですが、ここに異常があると歯に原因が無くても歯が痛いと感じることがあります。なんとか助けてあげたいという善意から治療に介入すると、健康な歯を削って、神経を抜いて、それでも治らずに抜歯して、それでも治らずに隣の歯を削って・・・。という悪循環に陥ります。無知からくる善意は時として悪意より厄介なのです。その最たるものが放射能の風評被害です。

以下、口腔顔面痛の関連エントリーです。
非歯原性疼痛
神経障害性疼痛

ところで上のイラストは、ヒューマン・アナトミー・アトラスというソフトで書きだしたものですが、患者さんへの説明に解剖図が必要な時にはとても重宝します。ご同業の方には強くお奨めします。これはご自由にスルーできる私からの善意です(真顔)。

 

根管洗浄

マイクロスコープを臨床に導入して感染根管を初めて見た時は衝撃的でした。汚いんです。根管を英語でRoot Canalと言うのですが、Canalは一般的には運河のことです。しかし運河と言うよりは詰まって汚れた排水管です。汚いんです。

ドブ掃除をする時は、まずゴミや泥を掬いますが、水が流れていると細かい泥も流れて綺麗になります。仕上げに洗い流すことができるとできないでは綺麗さは大違いです。今回は例えも汚いんです。

根管拡大の器具はどんどん新しい物が開発されていますが、根管洗浄は私の知る限りあまり変わり栄えしません。私の臨床でも洗浄方法はここ何年も変わっていませんでした。NaOClとEDTAでこのチップでアコースティックストリーミングとかキャビテーションとかを利用して洗浄して、最後に注水して流水で洗浄というパターンです。

 

そこに久々の新機材導入です。これ自体は新しい物ではないのですが、ある有名なエンドの臨床家が推薦していたのです。たった一つの機材が重かった臨床の扉を開いてくれたことが何度もあって、それは実際に自分で使ってみて確かめるしかありません。

日本では売っていないので、アメリカから輸入しました。それなりにコストを掛けたであろうパッケージの中から現れたこれは、開けてビックリあまりにちゃちい。百均でも売ってそうなレベルです。機械的にも内部で小さなモーターが回っているだけだろうなという印象。にもかかわらず信じられない強気なお値段で、これは売れないだろうなと思わせるオーラに満ち溢れています。

が、このチップは底知れない可能性を予感させます。ただの予感ですが・・・

 

 

 

 

 

 

セミナー

お茶の水でのセミナーに参加してきました。

写真はフリードマン先生。勿論同時通訳付きですが、たぶん日本の聴衆に向けて理解しやすい言葉を選んでいるのでしょう。7割程度は通訳無しでも理解できました。5割は専門用語なので当然か(^^;)。