マイクロスコープの静止画のフォーカス

前歯にセラミッククラウンを入れるような場合、色合わせが難しいのは真ん中の前歯一本だけ被せるような場合です。逆に6本だったりすると、苦労しません。

当院ではシビアな場合は技工士さんに医院まで出張して貰って直接立ち会いの下で色を決めてもらいます。そこまで神経質になる必要がない場合は、カメラで撮影してデータを渡しています。

ところで写真による色の再現はとても難しいのです。例えば同じ絵の具の写真をいろいろなカメラで撮影して見比べると色が違います。今度は一つのカメラで撮った写真をいろいろなモニタで表示すると色が違います。同じカメラで同じモニタであっても、モニタは時間とともに色が変わっていきます。購入して数ヶ月で変わります。そこでキャリブレーションという作業が必要になります。技工所のモニタにも同じ作業が必要になります。

これを解消するためのキャスマッチというカラーチャートがあります。詳しくはここに書いてあります。
最近は色彩を数値化するデジタル機器も出てきています。高くて買えません(涙)。

と、ここまでは前振りです。

マイクロスコープの静止画がどうも納得できないのです。それでキャスマッチを使って色補正をしてみようと思い立って撮影してみたのですが、なんだかフォーカスが甘いのです。

画像をクリックすると拡大されます。実物の大きさは1cm画です。


眠い画像


ジャスピン画像

それでカメラマウントのフォーカスを確認してみたのですが、ここには問題を発見できません。さんざん設定をいじってみても解決しなくて困っていたのですが、やっと原因がわかりました。フォーカスではなくてブレでした。静止画のシャッタースイッチをマイクロスコープの支柱のテーブルに置いていたのですが、その所為でした。ほんの少しですがシャッターを押すと支柱を伝わってレンズも揺れていたのです。顕微鏡を覗いている私に見える像も揺れているはずですが、人間は自然に脳内で補正してしまうのですね。一瞬ですし。

というわけで、少しずつ前進しているのですが、動画の環境でまた大きな壁にぶち当たりました。これはメーカーのソフトのデバッグ以外では回避できそうにないです。

 

 

マイクロスコープの映像記録 その2

その1はこちら

思ったよりパーツが早く届いてこんな形になりしました。鏡筒が少し長くなりました。直視に有利になります。

カメラの取り付けが完了して実際に動かしてみて焦りました。これは大失敗しちゃったかなと…
映像は1秒くらい遅延するし、動画のフレームレートは5fpsしか出ないのです。
今はハードもソフトも色々調整して何とか上手く動きそうでホッとしているところです。
ある程度のパソコンのスキルと、光学機器のイロハが無いと悲しいことになります。
私はMacで使いますが、最新のグラボでギリギリのようです。PCはハイスペックを要求されます。

数日使ってみましたが、ソフトに何カ所かバグがあります。
このカメラの用途としては私の使用目的は特種中の特種のようなので(メーカーも初めてのケースと言っていた)デバッグは難しいかも知れないと思いつつメールをしたら、時間は掛かるかも知れないけどやってくれるそうです。幸い試行錯誤してバグをカバーする方法を見つけたので現状でも不自由はありますが動くようになりました。FinalCutProを使います。

何といってもこのカメラの優れているところは動画の撮影中に物理スイッチで静止画が撮れるところです。ただしこれはMacでだけ機能するようです。メーカーの人も知りませんでした。嬉しい誤算です。

ヘッドが重くなった分、バランスを取るために顕微鏡の動きが重くなってしまいました。カメラ以外にビームスプリッターやCマウントのアダプターが付いたせいです。カメラは軽いのです。仕方がありません。トレードオフです。
ビームスプリッターはプリズムで光軸を分岐させるので、少し顕微鏡像が暗くなってしまいます。これを改善するには現在のハロゲンライトをキセノンに替えるしかないのですが、そこまでやると安いメーカーのマイクロスコープが買える値段になってしまいます。でも欲しい。

上顎7番口蓋根管口

同頬側根
特種な根管の位置です。通常はこの角度で見ると上下に並びますが、これは横に並んでいます。マイクロスコープがないとちょっと発見しづらいと思います。

画像が丸くなっていますが、Cマウントアダプターの画角が可変なので実際の視野に近似させています。顕微鏡ですから視野は丸いのです。従来の画像は丸の中を四角く切り取っていたわけです。モニタには下のように表示されます。この辺は今後どう運用していくか暫く使ってみて決めていこうと思います。

 

 

 

歯牙形態

臼歯ダイレクトボンディングの参考書として購入しましたが、なんと上顎中切歯の形態だけしか掲載されていませんでした。表紙を見て内容の確認を怠った私が悪い。お世話になっている技工所さんにプレゼントです。