インプラントの破折

幸い今まで当院ではインプラントでの大きなトラブルはなかったのですが、初めての経験です。フィクスチャー(インプラントの本体)が割れてしまいました。

撤去は無理をせず先端を5ミリほど残して縫合して完全封鎖創にしました。感染組織ではないので傷はその後閉鎖し不快症状も全くありません。同じ部位にインプラントを埋入し直すのであれば除去しなければならないのですが、そうでなければこのままで大丈夫だろうと患者さんには説明してあります。実際何の問題も出ていません。ただ気分的にはとりたいような気もすると患者さんは仰っています。

インプラントのトラブルは嫌なものですが、それでも患者さんにとってのメリットは計り知れないものがあります。何度か書いていますが、なんとかして歯を残すというのが当院の存在意義ですので、インプラント治療を前面に掲げるようなことはありませんが、しかし私の手に負えないような難症例は別として、必要とご希望があれば臨床の一手段として今後も行っていきます。

インプラントの仮歯

型を採ってワックスアップして、シリコン印象。

途中の技工の工程は省きます。仮歯です。ネジ穴はゴムのような物で塞ぎます。

この程度なら技工は自分でやっています。

インプラントの埋入

当院はなんとかして歯を残すこと、長持ちさせることに特化した歯科医院であろうとしています。ですから他院で抜歯を宣告された歯でも残せる可能性は高いのですが、それでも無理な物は無理です。そういうわけで当院ではそう多くはないインプラントのケースです。私は歯内療法では普通の歯科医に比べればかなり無理(?)をしますが、インプラントでは無理をしない(できない)ので、術後に腫れたりすることも殆どありません。

術前 Trios(口腔内スキャナー)は金属の色を再現するのは苦手のようで、後ろの黒っぽい歯は本当は銀色をしています。

術前のインプラントシミュレーションCT像

埋入後

埋入縫合後

極めて何の変哲も無いケースです。ここから数ヶ月後に型を採るのですが、口腔内スキャナーのデジタル印象が最も力を発揮するのはそこだと考えています。