マグネットオーバーデンチャー

ホームページに掲載していた10年以上前のかなり古いケースです。書き換えのためこちらに移行します。

上顎3本、下顎1本が残存し、噛み合う歯がないために上の歯は下に、下の歯は上に伸びてしまっています。むし歯も深く歯周病も進行しています。このまま部分入れ歯を入れても問題を先送りするだけですが、ご本人の意思決定ですのでそれはそれで良いのです。

歯内療法、歯周治療を行い、根を残して磁石を取り付けます。義歯にも磁石を付けて吸着させます。

歯根だけ残してその上に義歯をのせる方法をオーバーデンチャーというのですが、残した歯は多くの場合歯周病が進行しやすくなります。しかし今後残った歯にトラブルがあっても、義歯を修理することによって対処できます。

無口蓋総義歯

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全ての歯が動揺、排膿しており歯並びも大きく変化してしまっています。噛む位置がずれてご本人もどこで噛んで良いのか分からなくなってしまっていました。嘔吐反射(げ~っとなってしまう)が強い方で、印象を採ることさえ大変な方です。

上顎は全て抜歯して総義歯を計画。仮義歯を入れて少しずつ最終的な形に修正していきます。

上顎総義歯の基本形は、このように上顎を全部覆います、これによって吸着して安定して噛めるようになるのですが、入れていられなければ机上の空論です。

最終的に選んだ義歯の形態はこうなりました。上顎、口蓋の部分をくり抜いてあります。最優先は装着感です。維持安定は犠牲になりますが、幸い上顎の形態が良かったので最小限で済みました。
ただしどなたにでもできる方法ではありません。

下顎は前歯をブリッジにして臼歯は部分入れ歯を選択しました。

総義歯(その4)

その3はこちら。

技工所から完成義歯が届いたらシリコンでこんな準備をしておきます。シリコンは弾性があるので理論的には石膏でやるのが良いのでしょうが、石膏だと義歯を外したり戻したりするのが難しいのです。経験上、咬合調整においてはシリコンの弾性は無視できると思います。

テンチのコアを使って上顎をマウント。テンチのコアに完成義歯はピッタリとは戻りません。それ自体は調整への影響は無視できるのですが、重合の歪みをリアルに見ることができる瞬間です。

咬みあわせを取って下顎もマウント。このステップがこの方法のとても残念なところなのです。完成した義歯にもう一度ゴシックアーチトレーサーを付けてマウントすれば良いのでしょうが、そこまでやった経験はありません。
しかしこれはゆくゆくはデジタルが解決してくれると思っています。デジタルなら理論的には重合の歪みは無いはずですから。


カチカチ

こんな跡がつきます。リンガライズドオクルージョン。

いよいよというか、漸くというか、遂にというか、セット。

義歯は歯茎という柔らかい組織に乗せるので、クラウンなどの被せ物の治療とは全く違うところがあります。また、顎の骨や粘膜の状態も千差万別です。そして患者さんの適応性にも差があります。幸いこのケースでは「歯が入ったから見に来い」と呼ばれたと、この方のお友達の患者さんが仰っていました。セット後に何のご連絡も無いのできっと上手くいったのでしょう。患者さんの満足が歯科医師のビタミンです。