印象

下顎の印象は大変です。左右の複数の臼歯の精密印象は一回で成功するような幸運に恵まれることばかりではなく、このように複数の印象を採る覚悟で臨むことになります。印象にはアプリオリに印象材の硬化時間というものが存在しますから治療時間は余裕を持って確保しておく必要があります。光学印象はそれを大きく変える可能性がありますが、絶対に光学印象では無理なエリア(可視できないエリア)があるので私は現時点では信用していません。もちろんその疑問に明確な回答が得られれば考えを改めることに吝かではありません。もしかしたらそこまで精密さを要求しない(できない)保険治療には親和性が高いのかもしれません。

あくまでも直接法の光学印象の話です。デジタル化の話ではありません。

歯肉圧排 印象

マイクロスコープ下での歯肉圧排です。紫の糸の下にもう1本細い糸が入っています。

シリコン印象。上顎前歯は最も印象がしやすい部位です。アルギン酸と寒天印象でも寸法変化の差は大したことは無いと云う人も居ますが、圧排を必要とする印象にはシリコン一択です。寒天は細部は千切れてしまいます。

このように綺麗な印象が採れました。

 

図説してありますので当院ホームページのここをご覧下さい。

エキストリュージョン12年経過

高校の部活の練習でぶつけて破折した歯です。一見ダイレクトボンディングも可能なように見えますが裏側は歯肉の下まで破折していました。

隣の歯は黒ずんでいますが、打撲による歯髄死です。
破折した歯は既に抜髄された状態での来院でしたので、根管治療後エキストリュージョンしてメタルボンドで補綴。隣の歯は根管治療後、セレックでベニアで修復しました。

12年後の来院。

少しマージンが露出してしまいました。歯肉のレベルは不揃いです。決して褒められたプラークコントロールではないです。しかし大きな問題は無く機能しています。