エキストリュージョン12年経過

高校の部活の練習でぶつけて破折した歯です。一見ダイレクトボンディングも可能なように見えますが裏側は歯肉の下まで破折していました。

隣の歯は黒ずんでいますが、打撲による歯髄死です。
破折した歯は既に抜髄された状態での来院でしたので、根管治療後エキストリュージョンしてメタルボンドで補綴。隣の歯は根管治療後、セレックでベニアで修復しました。

12年後の来院。

少しマージンが露出してしまいました。歯肉のレベルは不揃いです。決して褒められたプラークコントロールではないです。しかし大きな問題は無く機能しています。

外科的廷出

差し歯が取れてしまったと来院されました。歯肉の下までむし歯が進んでいます。

このような状態の歯をちゃんと残す方法は三つしかありません。エキストリュージョン外科的廷出クラウンレングスニングです。クラウンレングスニングは前歯部にはあまり使えません。歯肉が下がるので見た目が不自然になってしまうからです。下の写真(刺激が強いのでモノクロに変換)のように全体の歯肉を下げる場合には使えるのですがこれは今回のケースとは目的が違います。

外科的廷出後にファイバーポストを入れて形成した状態。全周にフェルールが充分確保された理想的な状態です。術後二ヶ月です。以前はもっと長い期間をおいて安定を待って補綴していましたが、必要無いと思うようになりました。ある程度歯肉が安定したら積極的に咬合させるべきだと最近は考えています。

まだ少し動揺があります。動揺が無い方がしっかりしていて良いように思われるかも知れませんが、それはアンキローシスという良くない方向に進んでいる可能性が高いのです。そうなってしまうと歯根吸収が起きてしまいます。

セレックで補綴の治療費を抑えられれば、治療費はトータルで15万円程度です。勿論どんな歯でもこの手法で残せるということではありません。