デジタル印象が可能なとき

歯肉縁下に形成が及んだ場合はデジタルは難しいと、ことあるごとに書いてきましたが、時には可能なこともあります。圧排糸で歯肉が少し下がってくれて形成限界がどの方向からも(横からでも縦からでも)見える場合にはデジタルだけで印象します。見えているわけですから圧排糸を抜かないで印象します。どの方向からも見えるというのが重要なんじゃないかと私は思っていて、現在のIOSはワンショットで撮っているわけではないので画像の合成をしていますから、情報の連続性が重要なのではないかと勝手に考えているのです。AIがそこをカバーしてはいるのでしょうが理想的には大きな情報量の連続があった方が良いに決まっています。

うちのご老体のCERECですと、なるべく少ないスキャンの枚数で3Dデータを構築するのが理想とされていたため、模型スキャンの際に模型にポイントを彫刻したりしていました。そこをデータの合成の基準点として認識させていたわけです。因みに口の中の直接スキャンは一切行っていませんでした。

デジタルは術者の稚拙な技術をカバーしてはくれません。むしろ術者がデジタルをカバーしなければならないのです。

DICOM Viewer

当院にまだCTが無かった頃は医科の病院に撮影を依頼していました。CTのデータはDICOMという規格のファイルで、それを見るには専用のビューワーが必要です。MacOSに対応したビューワーにはOsiriXという泣く子も黙るソフトがあって、それはなんとフリーのソフトでした。随分お世話になりました。

その後、当院でもCTを導入して、そうなると機種専用のビューワーもあるのでそちらばっかりを使うようになっていました。今ではOsiriXは有料のソフトウエアになったようです。

このたび他院で撮影したDICOMデータを開く必要があったのでビューワーどうしようかとなって、miele-lxivというフリーソフトを見つけました。これがなんと殆どOsiriXそのものでしたよ。という何のオチもないお話でした。

miele-lxivの変なアイコン。

アナログ印象

デジタルで印象できるケースはアナログでも印象できますが、アナログでできる印象が全てデジタルでできるということはありません。デジタルは写真のようなものなので歯肉の下の(歯肉縁下といいます)印象は苦手です。いろいろ工夫してやる方法もありますがそんな苦労をするよりシリコンでアナログ印象した方が確実です。と、現時点では思っています。手段の目的化はしません。どちらでも印象が可能ならデジタルを使います。効率が良いからです。

同じ歯肉圧排からの印象。上の画像は本気で採ろうと思ってデジタル印象したわけではないのですが、これでは使い物にはなりません。下がアナログ印象です。エッジが立った良い印象だと思います。