3Dプリンターを買ってみた

3Dプリンターの概略を学んできました。積極的に使おうとはそれほど思っていませんが、どんな構造でどんな使い方をするのかを知っておきたかったのです。デジタルデンティストリーを行っていく上では歯科医が直接触ることが無くても必ず関連してくる機材です。

下の画像はブリッジの模型とその仮歯をプリントしたものです。実習しました。

コンシューマー向けの2Dプリンター(家庭用インクジェットプリンター)に使いこなしのテクニックなんて殆どありませんが、3Dプリンターはそう簡単ではありません。とても面倒で神経質でした。そしてプリントにはとても時間が掛かります。3Dプリンターにもいろいろな方式があるのですが、このプリンターは薄いシートを一枚ずつ重ねていくようなものでした。インクの管理や、何というのか忘れましたが金属のプレートみたいな部品とかインクが満たされているお盆のような所とか、毎回ちゃんとチェックしないと失敗します。そして失敗だったと解るのは印刷が終わった時点です。で、実際失敗しました(笑)。スタートから60分以上待って失敗を知る(大笑)。

成功したらしたでさらに後処理が必要で、それにもそれなりの時間が必要です。この模型でトータル2時間くらい掛かりました。

せっかく講習を受けたしスキャナーもあるし、自分にそこそこスキルもあると自惚れてもいますので、オモチャみたいなのをAmazonで購入しました。2万円しません(驚)。でも安い石膏でいい加減な混水比でバキュームミキサーも使わずに練って作った作業用模型よりずっと正確だと思うのでした。とりあえずToriosでスキャンして実際にプリントするところまではやってみます。その気になればアライナーやサージカルガイドも作れるようですが、どちらも私の守備範囲外なので華麗にスルーです。

オールセラミッククラウン

ホームページに掲載していた10年以上前のかなり古いケースです。書き換えのためこちらに移行します。

右上2番の変色と左上3番のレジン前装冠の改善が希望
術前の状態

術後
偶然上手くいきましたが、ここまで色調をマッチさせるのは難しいです。

写真中央
右上2番の術後

写真中央
左上3番の術後

別症例ですが、ラボ(技工所)にはこれらの画像を送ります。距離と露出を変えて、10枚ほど撮影します。これだけでは難しい場合は、直接テクニシャン(技工士)が来て色あわせを行います。完成して装着された写真も見てもらうことによって、私の眼(実際はカメラ)とテクニシャンの眼のすりあわせを行っていくことになります。精密な印象と情報を渡すことが重要で、そこでのエラーをカバーすることはできません。CAD/CAMにおいては更に形成の善し悪しが決定的に影響してきます。3Dスキャナとミリングマシンは、好き嫌いが激しいのです。

プロルートMTAを使った直接覆髄

ホームページに掲載していた10年以上前のかなり古いケースです。書き換えのためこちらに移行します。

術式は今も変わりませんが、ご覧のようにこの時は保険での治療(全く採算に合いません)という甘えもあってラバーダムを使用していません。この部位でこの処置でラバーダムをしないことは今の当院の治療ではあり得ません。また、プロルートMTAは硬化すると黒くなるので今はこの部位では使用していません。別のMTAを使っています。最終的に被せる場合にはその限りではありません。

さて、上顎小臼歯近心隣接面からの深いムシ歯です。痛みはありません。時々物が詰まるという程度の訴えでした。当時は痛みがあれば神経を抜く治療になることが殆どでした。

カリエスチェックというムシ歯染色液を使って慎重に感染歯質(ムシ歯)を削り取ります。歯髄に近くなったらタービンは使わず小さいナイフのような器具で手指の感覚で削り取っていきます。

歯髄に到達してしまいました。赤く見えるのが歯髄(神経)です。患者さんの年齢やその他をトータルで考えて、これは神経を残す方向で治療を進めることにしました。近日中に痛みが出て結局神経を抜かなくてはならなくなる可能性と、暫くしてから同様に痛くなってくる可能性、そして無症状で歯髄が壊死する可能性を説明し、納得して頂きます。

MTAで露出した神経をカバーします。

コンポジットレジンで更にカバーして光学印象まで済ませて仮封して本日の処置は終了します。現在はレジンの前にコンポマーを入れています。
この削り方はコンサーバティブな修復処置には対応しません。金属で作ったものを従来のセメントで付けてもこの形成では簡単に外れてしまいます。高度な接着操作によって最小限の切削量による修復が可能になるのです。今の私ならこのままコンポジットレジンで仕上げるかも知れません。

セレックで修復