ストレートラインアクセス

根管の入り口を根管口というのですが、ここをどう攻略するかが根管治療には大切です。削りすぎること無く器具操作がし易い形にします。根管洗浄する際にも細すぎてはシリンジが入りません。

下顎7番。ピンクがかっているのはう蝕検知液を使ってむし歯を除去しているからです。感染根管です。

この歯の根管口を明示して器具が直線的に入るように形成したのが下の写真です。ストレートラインアクセスを確保した状態です。

どの歯でも抜髄症例では根管口は大体似たような形になりますが、再治療の場合は既にいじられているので綺麗な形にならないこともあります。

 

下の写真は下顎6番の近心根です。2根管口で根尖で繋がっていました。イスムスはよく洗浄して拡大はしませんでした。感染根管ではありません。

根充後。右に見える近心根の根充材が1本になっているように見えると思います。二次元のレントゲンですから実際には参考にはならないのですが…。
顕微鏡の写真からは根管口をとても大きく拡大しているように見えると思いますが、レントゲン写真を見るとそうでもないことが解ると思います。

抜髄

下顎6番の近心根です。根管口を拡大して根尖まで器具は到達しています。何か見えます。

赤い線で囲まれた部分です。歯髄です。神経を抜くことを「抜髄(ばつずい)」といいますが、綺麗にスポッと抜けてくるようなことはありません。顕微鏡で観察すると根の中には取り残しが見つかります。

特殊な器具で偶々綺麗に一塊で取れた、取り切れていなかった歯髄組織です。

見える範囲では綺麗になりました。

顕微鏡を使っても見えない部分は当然あります。でも見えない部分が少なくなるのは確かです。治療時間が長くなるのはその所為でもあります。

 

フェネストレーションを歯根端切除術で対処した症例のその後

このケースのオペ後約40日後です。

残念ながら不快症状を消し去ることはできていません。症状の改善はあるそうです。最初から保存は無理で治療に着手しないという選択をしたことはありますが、着手して不快症状を消せなかった最初のケースとなってしまいそうです。

「医療に完全は無いです」と私自身良く言うのですが、いざ当事者になると、とたんに説得力を失うように思えてしまいます。冷静で理解力のある患者さんの「当面はこの状態とつきあってみます」という言葉に助けられています。とにかく誠実にずっとフォローしていきます。