ガッタパーチャを除去して根管洗浄

ガッタパーチャの除去の方法はいろいろありますが、要するに根管の中が綺麗になれば良いのです。ならば効率よく短時間で終えることは重要です。もちろん安全に確実に行うということが優先します。

再治療は前医が上手なほど苦労します。根尖まで緊密に充填された根管の再治療は大変です。それに比べてスカスカに根管の上部だけ根管充填された歯の再治療のなんと楽なことか(チコちゃん風)。

根尖まで緊密に根充するのは大変な作業で、レントゲンを見るとその歯科医の熱意が伝わってくるのですが、そのことに時間と労力を費やすなら根管内に細菌を入れないことに注力した方がずっと効果的なのです。それは徹底的な感染象牙質(むし歯)の除去と隔壁とラバーダムと緊密な仮封です。

パーフォレーションとサイナストラクトのある上顎前歯コンプロマイズド症例の16ヶ月経過

この症例の16ヶ月経過です。

初診時

赤い線で囲まれた部分が病変です。原因はパーフォレーション。

16ヶ月経過

歯根破折の心配は消えませんが、病変はほぼ消えてlamina dura(歯槽硬線)も現れてきています。良好な経過を患者さんに伝えることができた時は晴れやかな気持ちになります。

SONICflexとコメットソノサージェリーで歯根をカット

マイクロエンドサージェリーにピエゾサージェリー(超音波骨切除器具)が使用されるようになってきています。

インプラントを埋入する際に骨の幅が足りない場合に用いるスプリットクレストあるいはリッジ・エキスパンジョンという方法があります。私はそういったインプラントオペはできませんし、いまからチャレンジしようとも思いませんが、ずいぶん前にこの手技を臨床に取り入れようとしていた頃に購入した機材で歯根をカットしてみました。ピエゾよりパワーは落ちるのですがちゃんとカットできました。道具箱の肥やしになっていた機材が再び日の目を見る時が来たようです。

マイクロスコープを使った治療には超音波器具が多用されます。一番大きい利点は回転切削器具では欠くことのできないヘッドと呼ばれる部分がないので視野を邪魔しないということです。それ以外にこれはマイクロスコープとは関係ありませんが軟組織に優しいということもあります。それから長いチップを使えるということ。バーだと届かない奥深くにも到達可能です。注水に水以外の生理食塩水やNaOClが使える。タービンでは基本的に水しか使えません。もし使えたとしても故障が頻発すると思います。

あんなこともこんなことも、できなかったことができるようになる。それは単純に楽しいことです。