XP-endo Shaperによるガッタパーチャ除去

非常に短時間で治療を終えることができました。トータルで50分程度です。同じ結果を出せるなら治療時間は短い方が良いに決まっています。ただしあくまでも「同じ結果を出せるなら」です。質を落として早く済ませるのとは全く違います。歯内療法の再治療の多くは、質の低い治療の結果として在ります。

 

断髄

下顎5番6番の歯髄炎です。5番はズキズキ痛みが続くということなので抜髄即日根充です。次のアポイントで6番は一過性の冷水痛だったので断髄しました。2本の神経の治療が2回で終わりました。

6番のインレイを除去してむし歯を削り取ると露髄しました。写真は冠部歯髄を除去したところ。出血します。つまり健康だと思われる歯髄が露出しています。死んだ歯髄は出血しません。

NaOCl綿球を置いて5分ほどでほぼ止血しました。

MTAをのせて

その上をセラカルという特殊なセメントで覆ってレジンコアを詰めます。

次回のアポイントで経過を訊くと全く痛みは出なかったとのことでした。さっそく補綴処置に移ります。他の歯科医がこの6番のレントゲンを将来撮影することがあったならきっと手抜きの根管治療だと思うことでしょうが、これはバイタルパルプセラピー、歯髄保存療法です。従来は若年者が適応とされていましたが、今は年齢には関係ないことが解っています。

パーフォレーションリペア

治療中だけど痛みが消えず腫れてきたということで転院をご希望で来院されました。頬側にサイナストラクトがあり、根管は開放されていました。

着手前の状態で撮影したレントゲン。近心根のパーフォレーションです。

赤いところが本来の根管です。

緑色の部分でパーフォレーションです。

見づらいですが赤丸の中は出血しています。パーフォレーションをリペアして根管治療を行いこの歯を保存する可能性に掛けるか、あるいは抜歯するかの選択をして頂いたところ、患者さんはこの歯の保存を希望されました。病変がありサイナストラクトがありパーフォレーションもある歯の再治療ですから難易度の分類ではかなり高い部類になるのですが、それでも患者さんが保存を希望するならば持てる技術の全てを使ってなんとかしたいと思うのです。
むし歯の予防や歯周病の治療は患者さんの努力と協力が無ければ絶対に成功しないのですが、根管治療はほとんど全てが歯科医師の手に委ねられています。

一回目の治療で遠心根のスクリューポストを除去し隔壁を作りました。動画は二回目の治療です。パーフォレーション部を埋めてあったスーパーボンドと思われるものを除去すると大きなパーフォレーション部が露出しました。肉芽を取ってNaOClで洗浄して止血してメインの根管が塞がってしまわないようにガッタパーチャで栓をしてMTAホワイトでパーフォレーションリペアしました。硬化を一週間待って次回はメインの根管治療です。本当はメインの根管治療を一緒に行って根管もMTAで根充してしまえば良いのですが、透明なスーパーボンドを除去するのに思いのほか時間が掛かってしまいそこまでやれなかったのです。除去する可能性がある材料は、なるべく歯の色とかけ離れていた方が除去しやすいのです。

今回の処置の終了後。歯肉のイボのような膨らみがサイナストラクトです。

今回も言葉より動画をご覧下さい。

リペア後のレントゲン写真。根管内に見えるのはガッタパーチャの栓です。

しっかりした理論を学び機材を備えテクニックを習得した歯科医師にとってはパーフォレーションリペアは部位にも依りますが比較的成功率の高い治療です。

続きます。