ウォーキングブリーチ

神経を抜いた歯の変色を治すウォーキングブリーチという方法があります。
神経を抜いた歯が極端に黒ずむのは、殆どは歯の中が汚れているからです。きちんとした治療が成されていれば、それほど黒くなったりはしません。

所謂ホワイトニングは、神経の有る歯に適応される比較的新しい方法です。一方ウォーキングブリーチは1960年代には報告されているかなり前からあった方法です。しかし最近はあまり取り上げられることも無くなっていました。Pathways of the PULPにも記載はありません。

ウォーキングブリーチは過ホウ酸ナトリウムを過酸化水素水で練って詰めるという術式が、広く周知されていると思います。

先日のセミナーのフリードマン先生の講義は、まさにこのウォーキングブリーチでした。実はウォーキングブリーチには落とし穴があって、上記の方法だと歯根の外部吸収のスイッチが入ってしまうことがあるというのです。つまり、根がとけてしまうのです。ひとたびこのスイッチが入ると、この歯の保存は非常に困難になります。2〜7%の頻度でそれが起きるとのことですから、これはかなり高い数字です。

これはそのセミナーでレクチャーされた歯根吸収のリスクを回避した方法で行ったウォーキングブリーチ。一週間でここまで回復します。グレーだった部分が明るくなっています。

何年かで戻ってしまう傾向にあるというのが欠点ですが(全てではありません)、ひとつの治療のオプションです。

ブラックトライアングル

この症例の約4ヶ月後です。
ブラックトライアングルはやはり閉鎖してきています。


セット時


4ヶ月経過

保険の効かない治療を材質の違いと勘違いしている患者さんは多いのですが、それは誤りです。保険診療と同じ方法で材質だけ違っても、良心的な歯科医の保険診療には及びません。しかしセラミックの生体親和性は保険診療のマテリアルには不可能な歯肉の反応を具現化します。ですから材質も重要なのです。

さて、このような軟組織のマネージメントはこの本で学べます。著者(なめたよしのりと読みます)はもう40年のお付き合いがある同じ釜の飯を食った愛する先輩です。