上唇小帯切除術

線で囲んだ部分の改善を行います。

術前。上唇の裏側から歯茎に伸びる襞のような組織を上唇小帯と言います。まずはこれを切除します。動画に出てきますが付着歯肉という本来は動かない歯肉がこの小帯を引っ張ることで動いてしまうので、切除した方が長期安定に繋がると判断しました。痛々しく見えると思いますが実は侵襲は大きくない治療です。

3日後に糸を抜いた状態です。痛み止めの使用は術直後に1回だけだったそうです。早期に抜糸するのはナイロンモノフィラメントの糸がチクチクして不快だからです。

動画は刺激的なシーンでは白黒にしてはありますが苦手な方はご注意ください。マイクロサージェリーを行っていますが習慣でやっているだけで顕微鏡無しでも問題は無いと思います。本当に全然大したことはない手術です。

B.O.P.T.アドバンスコース・クリニカルプロシージャ

頭ではある程度理解していたつもりでしたが、いざ実際にやってみると難しい。例えばこれです。なんだこの失敗印象と思いましたが頭を切り替えてよく見るとこれは失敗ではありません。模型実習なので生体ではあり得ないところに印象材が流れていますがその辺を整理して石膏を注いでみます。

1本の歯に4カ所の充填

幼稚なイラストですが黒丸がむし歯だと思ってください。重要なのはそれぞれが独立して存在しているところです。これを間接法、つまり型をとって模型上で修復物を作って歯に着けるという治療法で行うと下の画像の様に健康な部分も削らなければなりません。黒い部分が削られた部分です。これはデジタルだろうがアナログだろうがセラミックだろうが金属だろうが同じです。一塊の修復物を嵌めてくっつけるわけですからそうせざるを得ないのです。

直接修復はこの縛りを受けません。悪い部分だけ削ってそこを埋めて固めるという修復方法だからです。どちらが優れているというような単純な話ではありません。要は適材適所です。

1本の歯に4カ所の問題があります。治療の介入が必要だと思ったのは銀歯が詰めてある境目のところです。こういった部位のむし歯は一気に深く進行することが多いのです。

奥側と手前のむし歯は静止状態にあるようにも思えたのですが治療に介入する以上、手を付けても良いと判断しました。もう1カ所欠けている部分がありますが、ここは削らずに充填だけ行うことにしました。奥の部位はラバーダム下での治療は色々工夫しましたが断念しました。根管治療の際のラバーダムなら簡単なのですがこういった治療のラバーダムはなかなか難しいのです。頬を排除する為にクランプだけは掛けています。切削音が違うのが解ると思いますが回転では無くて振動で削っています。最小限の切削充填を実現する為には道具は膨大な種類が必要になります。