歯根破折のある7番の経過

下顎の7番です。サイナストラクトがあり咬合痛があるので治療に着手しました。
歯根破折でした。サイナストラクトが消えません。抜歯を提案しましたが、痛みが消えて噛めるようになったのでと、保存を希望されました。

 

根充後。

 

3年後。サイナストラクトは消失しています。違和感もありません。何故こうなったのか解りません。いつまで安定した状態が続くのかも全く予想はできません。予後に責任は持たないという説明の元に、患者さんの意思決定を尊重しましたが、時間もお金も無駄にする可能性の高い治療です。はたしてそれが治療といえるのかと問われれば、返す言葉はありません。
破折した根の感染根管治療はこの症例でしかしかやったことはありません。通常は抜歯するか、抜歯を拒否されれば治療をしないでそのままにします。ですのでこれを読んで、破折歯根を保存できるかも知れないと期待はしないで下さい。殆ど確実に失敗します(私の場合)。
破折しているかどうかはクラウンを除去してみないと解らないこともあるので、着手する前に、治療開始後破折が確認された場合はその時点で治療を打ち切り抜歯に移行する旨を伝えています。

 

 

もしこの先この歯を抜歯することになったら、抜去歯を切断して観察するつもりです。