5cmに100万円

メーカーにお願いしてマイクロスコープのパーツのバリオスコープ(Varioskop100)をお借りしました。ダイヤルが付いている下に伸びている筒のような部分です。これを追加するとフォーカスの深さが20cmに増すのです。標準は10cmです。センターから上下に5cmずつフォーカスの範囲が広がるわけです。
別にフォーカスはいいのです。もう体が覚えていてハンドルを持って鏡筒ごと上下に動かしてフォーカスを合わせるのは苦ではないからです。

ではどうしてデモ品を借りたのか? マイクロスコープのヘッドと患者さんとの間隔を大きく取りたいことが希にあるのです。特殊な器具を特殊な用途で使うときにマイクロスコープに器具が当たってしまうことがあるのです。そのとき、5cm離せるというのは魅力的なのです。

というわけで見積もりを取ると悪い予感は当たって約100万円でした(滝汗)。これが今回の意味不明のタイトルというわけです。

動画は実際の顕微鏡像と操作の状況を並列に写してあります。良い思い出にしたいので撮影してみたというわけです。ほんのちょっとの不便さの解消を追い求めたらキリがありません。出番はひと月にあっても一回。これはさすがにコストパフォーマンス悪すぎます。さよならバリオスコープ。

外科的歯内療法(意図的再植術)

この症例です。

サイナストラクトが再発しました。外科処置に移行です。

上顎7番は部位的に歯根端切除の対象にはならないので意図的再植術を選択します。一度抜歯して根尖をカットして抜いた場所に戻します。

根尖孔が黒いのはMTAが見えているからです。プロルートMTAは硬化すると酸化ビスマスのせいで黒くなります。

歯根端をカット。MTAで根充してあるので逆根管充填は必要ありません。周辺の歯質まで黒変しています。黒変を避けたい部位にはビスマスフリーの別のMTAを使う必要があります。

抜歯窩を掻爬。

抜歯窩に戻して縫合固定します。外科という切り札を切ったのでもう次の一手は無くなりました。結果が全てです。良い報告ができることを祈るしかありません。

上顎7番MB2(近親頰側第二根管)その2

このケースの続きです。

不快症状は消えました。MB1とMB2の間は必ずイスムスがあります。イスムスはファイルでの処置には限界があるので破折ファイル除去用の極細い超音波チップを使うことが多いです。根管洗浄も重要です。

見過ごされて未処置のMB2は頻繁にあると思いますが、その全てに病変が現れるわけではありません。しかし経験上、上顎大臼歯の病変は近心頬側根に現れることが多いです。MB2の存在が影響していると思っています(文献は探していません)。