慢性増殖性歯髄炎

慢性増殖性歯髄炎の症例です。ムシ歯が進んで歯髄に達した場合、殆どは歯髄が壊死して感染根管となるのですが、若年者で歯髄の生活力が旺盛な場合には壊死せず増殖してポリープを形成することがあります。通常自発痛はありません。
写真のように歯冠が崩壊していると、通常は歯の根まで腐って柔らかくなって(軟化象牙質)保存不能になる場合が多いのですが、生活歯髄の場合はそうはなりません。

除去したポリープ。これが歯根部歯髄と繋がっています。歯肉とは繋がっていません。

歯髄の活性が高いので根尖側の歯髄は保存することも可能なのかも知れませんが、それが可能だとして問題はその後の補綴です。歯冠の歯質が殆どありませんから普通に被せても維持がありません。簡単に外れてしまいます。そういうわけで抜髄してクラウンにすることにしました。



術前

根充後。4根管でした。

 

ガッタパーチャ

根の中に写っている白い不透過像がガッタパーチャという根管充填剤です。

除去しました。真っ黒になっています。そして臭います。ガッタパーチャを根管内から完全に除去するのは実は大変難しいのですが、こういったプアな根充だと簡単に取ることができます。
感染根管治療は実は前医があまり上手じゃない方がやりやすいのです。

上顎前歯根管治療

前歯のさし歯が取れたとか折れたとかだと、こんなになります。
根だけ残ってる状態です。

レントゲンです。

こういう歯の根管治療は仮歯を入れますが(見た目のため)、根管に維持を求めた仮歯は感染を防ぐには無力です。刺し歯みたいな仮歯です。そういうデータがあります。つまり治らないのです。
ですからこのように隔壁尚かつ支台のようなビルドアップをして仮歯を入れなくてはなりません。

この後穴を塞いで周りを形成して仮歯を入れます。上顎前歯ではここまでは必須ですが、ラバーダムはしないことも多いです。なくても大丈夫だと思っているからです。前歯に限ります。