
歯の神経の穴とかデジタルスキャンとか、ヲタクで細かいことばっかり書いていますが、実は私は大学を卒業して総入れ歯の医局に5年ほど居ました。義歯の臨床は好きなんです。
さて、Sさんは他院にて12回も下の部分入れ歯の調整に通ったのに全く良くならないと仰って、「浮気してごめんね」と言いながら久しぶりに当院に来院されました。い、いや、Sさん、私のお袋と言っても良いお歳です(笑)。
入れ歯の調整の保険点数がどのくらいなのかもう忘れてしまいましたが、たぶん異常に低かった思います。もしかしたら再診料しか請求できないのかもしれません。前医には時間を掛けてちゃんとやれば解決できるのに、経営を考えると時間を割くことができないという大人の事情がきっとあったのです。
90分ほど時間を掛けて、義歯に沈下防止の装置を新たに追加して粘膜調整を使いました。数日後、Sさんは何でも噛めるようになりましたと喜んで、義歯治療をご希望のご友人ををご紹介くださり、その方に付き添って来院されました。たまたま上手くいっただけかもしれませんが、ちゃんと丁寧に治療して見合った報酬を受け取ってお互いに感謝しあうというのが理想的だと私は思います。
患者さんには保険での歯科治療を拒否するという権利があります。お店でそっちじゃなくてこっちの、高くても品質の良い方をくださいと買い物をするのとニュアンスとしては同じです。そこでお店選びが重要になるわけですが、これが難しく、ネットの情報なんて信用してはいけません。と、さんざん書いてる私が言うか(笑)。