デジタルで作製したインプラントのセット

何の変哲も無い単独植立のインプラントですが、初めてのフルデジタルによる作製です。技工所に送るのは、宅配便での印象や模型ではなくデジタルデータ。もちろんオンラインです。

保険診療をしない私が書くのも何ですが、本当は保険診療にこそ取り入れられるべき技術だと思うのです。パーフェクトなデジタル印象は難しいですが、そこそこの合格点なら出せると思います。印象剤も石膏も必要なくなります。そしてこれはデジタルと直接関係があるわけではありませんが、結果的に保険財政を強烈に圧迫している歯科用金属を使わなくて良くなるわけです。金属の高騰は強烈で、歯科医院は「9万円で仕入れた商品を5万円で売っている店」のような状況のようなのです。

インプラントの光学印象

インプラントの印象は従来はここに特殊なネジのようなものを取り付けてアナログ(シリコン印象)で行われていましたが、IOS(Intraoral Scanner 口腔内スキャナー)を使ってもっと簡単に、そしておそらく正確に行うことができるようになりました。IOSが最も得意とするのがインプラントの印象だと思われます。

具体的にはここにスキャンボディーという光学印象専用のパーツを取り付けて、その状態をスキャンします。

インプラントの従来のアナログ印象は、普通のケースなら難しくはないのですが面倒なのです。それに比べて光学印象は術者も患者さんもずっと楽です。ただし、なんでもかんでも光学印象が優れているなんていうことは全くありません。適材適所です。

神経がない歯の痛みの原因(その後)

このケースです。

痛みの原因を診断し治療のターゲットにすることなしに闇雲に治療を重ねても、痛みは消えません。再根管治療では痛みの信号は殆どは歯根膜のAβ繊維に起因しています。そうじゃなければ非歯原性疼痛を疑う必要があります。歯科医師が「どうして痛みが消えないのか解らない状態」では、治療は偶然上手くいくという幸運に頼るしかないのです。

違和感も消えてセレックで補綴しました。治療に着手して終了まで約一ヶ月でした。