外科的歯内療法(意図的再植術)

この症例です。

サイナストラクトが再発しました。外科処置に移行です。

上顎7番は部位的に歯根端切除の対象にはならないので意図的再植術を選択します。一度抜歯して根尖をカットして抜いた場所に戻します。

根尖孔が黒いのはMTAが見えているからです。プロルートMTAは硬化すると酸化ビスマスのせいで黒くなります。

歯根端をカット。MTAで根充してあるので逆根管充填は必要ありません。周辺の歯質まで黒変しています。黒変を避けたい部位にはビスマスフリーの別のMTAを使う必要があります。

抜歯窩を掻爬。

抜歯窩に戻して縫合固定します。外科という切り札を切ったのでもう次の一手は無くなりました。結果が全てです。良い報告ができることを祈るしかありません。

フェネストレーションを歯根端切除術で対処した症例のその後

このケースのオペ後約40日後です。

残念ながら不快症状を消し去ることはできていません。症状の改善はあるそうです。最初から保存は無理で治療に着手しないという選択をしたことはありますが、着手して不快症状を消せなかった最初のケースとなってしまいそうです。

「医療に完全は無いです」と私自身良く言うのですが、いざ当事者になると、とたんに説得力を失うように思えてしまいます。冷静で理解力のある患者さんの「当面はこの状態とつきあってみます」という言葉に助けられています。とにかく誠実にずっとフォローしていきます。