口腔顔面痛を治す

歯が痛いのに歯医者に行ってもどこも悪くないと言われた。けれども痛みが続いている。そんな患者さんや、診断がつかずに困っている歯科医はこの本をご一読ください。歯科の専門書ではありませんから一般の方にもとても解りやすく書かれています。この分野を学んだことが無い歯科医師(多いと思います)にとっても良書だと思います。Amazonで購入できます。

当院に根管治療をご希望で来院される方の多くは、他院で治療中で痛みが止まらないという方です。その原因が歯にあれば大抵は治りますが(100%ではない)、歯に原因が無い痛みは歯の治療では治すことができません。ですから、歯のせいなのか、歯のせいでは無いのかを見極める診断能力は重要です。両方が混ざっている病態もあります。

口腔顔面痛の主な治療方法は薬物療法なのですが、痛み止めとして抗うつ薬を使用するなど、一般的な歯科医師が扱うことができるものではありません。私も残念ながら治療はできません。したがって治療は専門医に委ねることになります。専門医をお探しの方は日本口腔顔面痛学会の「専門医、認定医のいる施設」のページで探すと良いと思います。

つい最近ですが、日本口腔顔面痛学会会員限定でオンラインでセミナーが公開されていました。数年前に同じようなコンテンツのセミナーを受講していますが、アーカイブされていたので繰り返し見ることができるのはありがたいです。こういった座学のセミナーはこれからは家に居て学べるネット配信が主流になるのでしょう。特に地方在住の者にとってはありがたいことです。欠点といえば会場の空気から刺激を受けるということができないことくらいです。

神経がない歯の痛みの原因(その後)

このケースです。

痛みの原因を診断し治療のターゲットにすることなしに闇雲に治療を重ねても、痛みは消えません。再根管治療では痛みの信号は殆どは歯根膜のAβ繊維に起因しています。そうじゃなければ非歯原性疼痛を疑う必要があります。歯科医師が「どうして痛みが消えないのか解らない状態」では、治療は偶然上手くいくという幸運に頼るしかないのです。

違和感も消えてセレックで補綴しました。治療に着手して終了まで約一ヶ月でした。

 

神経がない歯の痛みの原因(その2)

このケースです。
神経のない歯の痛みの原因は概ね5種類です。おそらくこのケースでは感染と薬剤と機械的な刺激の複合的な原因です。感染はフィンの部分に残っていた汚れ。薬剤は貼薬剤として使われていた水酸化カルシウムの刺激。機械的な刺激とは治療の際の器具の根尖からの押し出し(治療の度に痛かったそうです)。

それらを取り除くことによって症状はほぼ改善しました。長期にわたる治療のため慢性痛に移行してしまっていましたから全くの無症状にはなってはいませんが、日常生活に支障は無いとのことでした。根管充填はもちろんMTAです。

仮歯が入りました。無駄にカラベリー結節とスチュワートグルーブ入れてみましたよ。