クラックのある樋状根の感染根管治療(その1)

CT撮影の前に可能な限り金属を外しておきます。金属はCTにアーチファクトというノイズを乗せるのです。

マイクロスコープ像。青い線で囲んだところがクラック。ヒビです。こういった再治療の画像では何度も書いていますが明らかに削り過ぎです。削れば歯は薄くなり強度は落ちて割れやすくなります。

ここまででこの日の治療を終ます。治療後この画像をお見せして充分な時間を掛けて状況をご説明し、次回の予約までの間によく考えて治療を続行するか抜歯するかを決めて頂きます。クラックの状況から歯内療法自体はおそらく成功すると思われますが、歯根の破折のリスクは消すことはできません。破折線が歯冠の頂上から根尖まで繋がっている場合は治療不能を宣言しますが、このように部分的な破折線についてははっきりした基準は私の中にもありません。

続きます。

根尖の病変

術前

1年後。病変は消えているように見えます。

この度奥の歯の治療のためにCTを撮影しましたが病変は確認できませんでした。

歯根破折のある7番の6年経過(抜歯になります)

このケースです。

最近になって急に調子が悪くなったとのことで来院されました。アブセス(膿が溜まって膨らんでいる状態)ができていました。レントゲン撮影。

保存不能です。6年以上は機能したので患者さんは納得していましたがどうなんでしょう? 正解は何だったのかは私にも解りません。