診断が難しかった下顎7番の歯髄壊死(その2)

このケースの続きです。

CTは通常の二次元のレントゲンに比べて優位に病変を発見できるというエビデンスがあります。レントゲンに関しては抑制的すぎるのは寧ろ患者利益を損なう恐れもあると考えます。今後は再治療においてはルーティンとしてCTを撮るということも考えています。下の図は被曝量を示したものです。福島の原発事故の頃はかなり学んだので知識も豊富だったのですが、危険ではないという結論に至ってからは急速に興味を失いほぼ忘れました(笑)。

さて、幸いイスムスに積極的に介入し徹底的な洗浄を行ったところアブセスは消えました。根管治療において顕微鏡の使用が治療成績に優位には関係しないというペーパーがあるのですが、さりとてこのイスムスを治療するのに顕微鏡無しで挑むのは無謀だと私は思います。
MTAで根管充填して根管治療を終えましたが4回の治療回数が必要でした。

診断が難しかった下顎7番の歯髄壊死(その1)

主訴は時々痛みがある。強く痛むこともあった。ピーク時の2割くらいに痛みは軽くなっていると言うことでした。少し動揺していましたが確定診断はつかず、咬合調整をして少し経過を見させてもらっていました。冷たいものにしみると仰るので確定診断がつかなかったのです。

他の部位を先に治療していましたが、アブセスが出現したので歯髄壊死の確定診断をして治療に着手しました。コンポジットレジンを除去すると近遠心にカリエスはありましたが歯髄壊死に陥るような深いものではなく、またクラックもないので本当に壊死しているのか不安になりましたが(勿論可能性としては説明しています)歯髄腔に達したときに中が空洞だったときはホッとしました。歯髄が生きていれば出血します。

歯髄腔の近心舌側が高位に張り出していて、おそらく以前の治療で前医が髄角(歯髄の角、で解ります?(笑))に近接したのに気づかなかったためだと思われます。矢印の部分です。上のレントゲンを下の写真を見た後で読像すればそうも見えますが、なかなか読み切れません。

最小限の削除で最大の効果を得ることを心がけます。

ところが治療に反応が悪く、通常ならアブセス(膿)はすぐに消えるものなのですがなかなか消退しません。CTを撮影してみたところ思ったより大きな病変があることが解りました。

続きます

セミナー

木曜と日曜の二日間のハンズオンセミナーでした。何度行っても期待を裏切らない素晴らしい内容なのですが、移動に費やす時間10時間というのが唯一のネックです。