大きな病変のある樋状根のような上顎7番の感染根管治療

このケースです。

インレイを外すと覆罩されており、それを外すと髄腔に達しました。未処置の感染根管です。

CT画像です。クリックすると拡大されます。樋状根とタウロドントのミックスのような形です。

根尖孔は大きく開いており、かつ複雑な形態が予測されます。
サイナストラクトは口蓋側にあり、押すと排膿します。

一回目の治療後、動揺はかなり収まり不快症状も解消しましたが、サイナストラクトは消失していません。二回目の治療で根管内の水酸化カルシウムを除去して根尖を突くとまだ根尖孔から根管内への排膿がありました。三回目で根尖から出血を促してMTAで根管充填。

三ヶ月ほど経過を診て、治癒に向かわないようならエンドサージェリーですが、実際の所は殆ど外科に移行することはありません。

口腔顔面痛

歯が痛いと来院された方で、原因の歯を特定できないことがあります。
歯科医としては目の前で苦しんでいる患者さんをなんとかしてあげたいと治療に介入したくなりますが、原因が特定できない場合は触れません。触ってはいけないのです。

例えば上の図の中央付近のエメラルドグリーンの部位は、三叉神経節という所ですが、ここに異常があると歯に原因が無くても歯が痛いと感じることがあります。なんとか助けてあげたいという善意から治療に介入すると、健康な歯を削って、神経を抜いて、それでも治らずに抜歯して、それでも治らずに隣の歯を削って・・・。という悪循環に陥ります。無知からくる善意は時として悪意より厄介なのです。その最たるものが放射能の風評被害です。

以下、口腔顔面痛の関連エントリーです。
非歯原性疼痛
神経障害性疼痛

ところで上のイラストは、ヒューマン・アナトミー・アトラスというソフトで書きだしたものですが、患者さんへの説明に解剖図が必要な時にはとても重宝します。ご同業の方には強くお奨めします。これはご自由にスルーできる私からの善意です(真顔)。