上顎6番の口蓋側にできたサイナストラクトです。頰側に出る方が多いのですが前歯でも小臼歯でも口蓋側にも出現します。下顎で舌側に出ることもあります。


上の写真のように(同じ患者さんです)サイナストラクトは大きくなったり小さくなったりを繰り返しますが、自然治癒することはありません。説明の結果、患者さんは治療の意思決定をされました。

インレーを外した状態。真っ黒に汚れていて悪臭がします。この段階でCTの撮影。CTは金属があると像が乱れるのでなるべく金属を外した状態で撮影するようにしています。


口蓋根の根尖に大きな病変があります。病変に沿って上顎洞底が盛り上がっているように見えます。歯性上顎洞炎も疑われますが、幸い鼻症状は無いそうです。
歯性上顎洞炎に関する書籍はあまりありませんが、この本は耳鼻科医が書いたものです。当然と言えば当然なのですが、歯内療法のことはあまり書いてありません。現代の歯内療法を学んだ歯科医師にとっては今回のこのケースは根管治療の適応であり、そう低くない確率で治癒に向かうであろうと考えると思います。

通法に従って破折の有無を確認して隔壁を作ってラバーダムをセットして先ずは口蓋根管の治療に着手しました。

ここまで綺麗になりました。ガッタパーチャポイントを除去するとこれも真っ黒に汚染されていました。ここまでが一回目の治療、約90分でした。