総義歯(その2)

その1はこちら

ゴシックアーチトレーサーという装置を入れて、カチカチ噛んでもらったり顎を前後左右に動かしてもらうとこのように軌跡が残ります。

見やすくするとこんな感じ。この矢印のような跡の先端が咬み合う位置です。この軌跡が安定しない場合は難症例です。

矢印の先に穴を合わせて板を張り付けて、咬み合わせの記録の際にズレないようにします。下顎の装置についているピンがここに入り込むわけです。

咬んでもらってそこにこのオレンジ色のシリコンを流し込んで、上下の関係を記録します。

そして下顎の模型を着け直します。

これで歯を並べる準備が完了しました。

続きます。

破折ファイル除去3年後

このケース以降、除去しようとして取れなかった破折ファイルはありません。そういった意味では私にとってはモニュメンタルな症例です。治療以降は臨床症状は出ていなかったのですが、つい最近になって機会があったのでレントゲン撮影してみました。

着手前 病変があります。時々痛くなるとのことでした。

映像記録システムが古かった頃の動画なので綺麗ではありませんが、除去の様子です。ループを使用しています。


根管充填後

3年後 病変は消えていません。この頃はまだMTAでの根管充填は行っていませんでした。根管洗浄も今のようにしつこくは行っていなかったと思います。

破折ファイルの除去はそれ自体が目的なのでは無く、病変の治療が目的ですからこれは(問題なく機能はしていますが)成功とは言えません。歯内療法は100%の成功を約束できる治療ではありませんし、ましてこのようなケースでは着手する歯科医師ですらほんの少数だと思いますが、素直に飾り気無く真情を吐露すれば・・・悔しい?

神経がない歯の痛みの原因(その2)

このケースです。
神経のない歯の痛みの原因は概ね5種類です。おそらくこのケースでは感染と薬剤と機械的な刺激の複合的な原因です。感染はフィンの部分に残っていた汚れ。薬剤は貼薬剤として使われていた水酸化カルシウムの刺激。機械的な刺激とは治療の際の器具の根尖からの押し出し(治療の度に痛かったそうです)。

それらを取り除くことによって症状はほぼ改善しました。長期にわたる治療のため慢性痛に移行してしまっていましたから全くの無症状にはなってはいませんが、日常生活に支障は無いとのことでした。根管充填はもちろんMTAです。

仮歯が入りました。無駄にカラベリー結節とスチュワートグルーブ入れてみましたよ。