この症例です。
下の画像は約5ヶ月後です。
不快症状は全くなく、サイナストラクトもありません。だいぶ骨が再生されて、病変は縮小傾向にあるようです。
福島県いわき市にある自由診療専門の歯科医院です。TEL 0246-36-5960
このケースです。
インレイを外すと覆罩されており、それを外すと髄腔に達しました。未処置の感染根管です。
CT画像です。クリックすると拡大されます。樋状根とタウロドントのミックスのような形です。
根尖孔は大きく開いており、かつ複雑な形態が予測されます。
サイナストラクトは口蓋側にあり、押すと排膿します。
一回目の治療後、動揺はかなり収まり不快症状も解消しましたが、サイナストラクトは消失していません。二回目の治療で根管内の水酸化カルシウムを除去して根尖を突くとまだ根尖孔から根管内への排膿がありました。三回目で根尖から出血を促してMTAで根管充填。
三ヶ月ほど経過を診て、治癒に向かわないようならエンドサージェリーですが、実際の所は殆ど外科に移行することはありません。
神経を抜いた歯の変色を治すウォーキングブリーチという方法があります。
神経を抜いた歯が極端に黒ずむのは、殆どは歯の中が汚れているからです。きちんとした治療が成されていれば、それほど黒くなったりはしません。
所謂ホワイトニングは、神経の有る歯に適応される比較的新しい方法です。一方ウォーキングブリーチは1960年代には報告されているかなり前からあった方法です。しかし最近はあまり取り上げられることも無くなっていました。Pathways of the PULPにも記載はありません。
ウォーキングブリーチは過ホウ酸ナトリウムを過酸化水素水で練って詰めるという術式が、広く周知されていると思います。
先日のセミナーのフリードマン先生の講義は、まさにこのウォーキングブリーチでした。実はウォーキングブリーチには落とし穴があって、上記の方法だと歯根の外部吸収のスイッチが入ってしまうことがあるというのです。つまり、根がとけてしまうのです。ひとたびこのスイッチが入ると、この歯の保存は非常に困難になります。2〜7%の頻度でそれが起きるとのことですから、これはかなり高い数字です。
これはそのセミナーでレクチャーされた歯根吸収のリスクを回避した方法で行ったウォーキングブリーチ。一週間でここまで回復します。グレーだった部分が明るくなっています。
何年かで戻ってしまう傾向にあるというのが欠点ですが(全てではありません)、ひとつの治療のオプションです。