クラックによる歯髄炎

7番の激痛が主訴。

 

打診にもエアブローにも反応がありません。痛みを再現できない場合は確定診断がなかなか下せません。一度経過観察を提案してアポイントを取ったのですが、数時間後に痛みが強くなったということで再来院されました。原因は5番のクラックによる歯髄炎でした。この症例ではマイクロスコープでのクラックの発見が診断のキーとなりました。

 

 

抜髄しました。取りあえず痛みを止めてクラックがどこまで行っているかを改めて確認して、保存か抜歯かを決めます。

生活歯のクラックによる痛みは診断も治療も難しいです。

 

 

 

歯根破折のある7番の経過

下顎の7番です。サイナストラクトがあり咬合痛があるので治療に着手しました。
歯根破折でした。サイナストラクトが消えません。抜歯を提案しましたが、痛みが消えて噛めるようになったのでと、保存を希望されました。

 

根充後。

 

3年後。サイナストラクトは消失しています。違和感もありません。何故こうなったのか解りません。いつまで安定した状態が続くのかも全く予想はできません。予後に責任は持たないという説明の元に、患者さんの意思決定を尊重しましたが、時間もお金も無駄にする可能性の高い治療です。はたしてそれが治療といえるのかと問われれば、返す言葉はありません。
破折した根の感染根管治療はこの症例でしかしかやったことはありません。通常は抜歯するか、抜歯を拒否されれば治療をしないでそのままにします。ですのでこれを読んで、破折歯根を保存できるかも知れないと期待はしないで下さい。殆ど確実に失敗します(私の場合)。
破折しているかどうかはクラウンを除去してみないと解らないこともあるので、着手する前に、治療開始後破折が確認された場合はその時点で治療を打ち切り抜歯に移行する旨を伝えています。

 

 

もしこの先この歯を抜歯することになったら、抜去歯を切断して観察するつもりです。

 

 

 

 

 

前歯のメタルボンドブリッジ(その2)

この症例をセットしました。
真ん中のブラックトライアングルを消すことも可能ですが、仮歯の段階で必要が無いと判断しました(見えない)。時間が経てば消えることもあります。

4ヶ月後の追記:かなり消えつつあります。こちらです。

きちんとステップを踏んで治療を進めると、殆ど無調整でセットできます。仮歯を外して歯面を処理してセットしてセメント除去までで30分でした。
元の自分の歯のようだと喜んで頂くのは、術者としては嬉しいものです。期待以上の結果を出すのが目標で、患者さんに鏡を渡して見て貰う時の私はドヤ顔になってると思います。特に前歯部の補綴は患者さんとの勝負です(笑)。