サイナストラクトとかMB2(近心頬側第2根管)とか感染とかのこと(その2)

(その1)はこちら

このイスムスを軽く拡大すると・・

 

かなり汚れが残っています。

 

洗浄でかなり綺麗になりました。この時点でMB2は根尖まで穿通できています。プレカーブを付けた06ファイルでした。未処置の根管は治療しやすいのです。

 

サイナストラクトは既に消失しています。

 

ここまで治療を進めてからCT撮影を行いました。イスムスを拡大してもストリップパーフォレーションを起こさないか確認したかったのです。
画像からは近親頰側根が2根管なのが良く解ります。ヒョウタン型なのでイスムスの拡大は最少限度にとどめるべきことが示唆されます。そして二次元のレントゲン像からは想像できなかった病変の大きさです。

 

黄色い部分が病変

 

無闇なCT撮影は慎むべきですが、このような普通のレントゲンから得られる情報には限度があるのもまた事実です。このレントゲンから病変の大きさを把握することは無理です。実は病変の大きさはあまり治療とは関係ないのですが、治療に介入するかどうかの意思決定の一助にはなるでしょう。

撮影は装置があれば誰にでもできます。しかし病態を把握しても治療技術がなければ撮影は無意味です。

 

 

 

MTAによるパーフォレーションリペア

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)が日本で販売されるようになって随分経ちました。最初に使ったのは上顎6番のパーフォレーションリペアでした。急性化して腫れていたのでコアを外すと、すぐに大量に排膿してその後出血。後日急性症状が落ち着いたところで単に穴が開いていたところにMTAを詰めただけでしたが、もうたぶん10年位問題なく経過しています。簡単と言えば簡単です。

写真は最近の症例。出血しているところがパーフォレーションの部位です。

出血が止まらないのでよく洗浄して水酸化カルシウムをのせて仮封しました。

翌週。水酸化カルシウムを除去します。出血はありません。

MTAで塞いで根管充填をしました。

術前

術後。 口蓋根管は閉鎖しているようで、発見できませんでした。

MTAによるパーフォレーションリペアは保険では認められていません。保険で認められているMTAの使用法は直接覆髄だけです。パーフォレーションリペアはMTAを使わなければ成功率は著しく低下します。ですので、保険治療だとパーフォレーションした歯は抜歯が第一選択になります。

これが直接覆髄です。ラバーダムを使用していないのは減点です(汗)。

私が使用しているMTAはプロルートMTA WHITEです。最近違うメーカーのものを購入したのですが、講習を聴くとやはりオリジナルのプロルートMTA が成績が良いそうです。