メタルセラミッククラウンで補綴した前歯の外科的歯内療法

術前。スクリューピンを除去し根管治療を行いました。

根管治療後、メタルセラミクスで補綴しました。隣の歯と連結しています。上の画像は治療3年後のレントゲンです。

サイナストラクトができています。再発です。補綴物には問題がありませんし、やれるだけのことはすでにやってあるわけですから再根管治療しても無駄ですので、歯根端切除術を提案し了承していただきました。切り札です。

この処置の敵はなんと言っても出血です。見えなければ顕微鏡治療の意味がありません。うまくコントロールできました。

縫合終了時。
一週間後に糸を抜きました。今回は珍しく術後に痛みがあったそうです。

術中の動画はこちらにあります。見たくない方もいらっしゃるでしょうから、いつものように直接ここに貼り付けるのは控えます。

追記 18ヶ月後の状態はこちら。

SONICflexとコメットソノサージェリーで歯根をカット

マイクロエンドサージェリーにピエゾサージェリー(超音波骨切除器具)が使用されるようになってきています。

インプラントを埋入する際に骨の幅が足りない場合に用いるスプリットクレストあるいはリッジ・エキスパンジョンという方法があります。私はそういったインプラントオペはできませんし、いまからチャレンジしようとも思いませんが、ずいぶん前にこの手技を臨床に取り入れようとしていた頃に購入した機材で歯根をカットしてみました。ピエゾよりパワーは落ちるのですがちゃんとカットできました。道具箱の肥やしになっていた機材が再び日の目を見る時が来たようです。

マイクロスコープを使った治療には超音波器具が多用されます。一番大きい利点は回転切削器具では欠くことのできないヘッドと呼ばれる部分がないので視野を邪魔しないということです。それ以外にこれはマイクロスコープとは関係ありませんが軟組織に優しいということもあります。それから長いチップを使えるということ。バーだと届かない奥深くにも到達可能です。注水に水以外の生理食塩水やNaOClが使える。タービンでは基本的に水しか使えません。もし使えたとしても故障が頻発すると思います。

あんなこともこんなことも、できなかったことができるようになる。それは単純に楽しいことです。

マネキンを使った歯根端切除術の練習

プラクティス。訓練ですね。

根管治療のトレーニングでいちばん行われているのは抜いた歯で練習することでしょう。ですが抜いた歯を使う場合、手に持てばありとあらゆる方向からいじれますから実際の治療より何倍も簡単なのです。

そこでこういったものに模型を取り付けて練習します。マネキンです。もちろん根管治療以外の練習にも使えます。そして重要なのはアシスタントの練習と連携の確認が行えることです。部位によっては術者とアシスタントの位置が逆になることもあるのです。

抜いた歯を埋め込んだ模型

このマネキンは普通に売られているものなので特に珍しくも無いのですが、ポイントはカメラ用の丈夫な三脚にセットしているところです。学生の実習で使われることを想定しているからでしょうが、歯科医院内ではなかなかこれを取り付ける場所がありません。まして当院ではマイクロスコープの下に置かないとまるで意味が無いのです。本当はもっと取り付けに適した雲台があると思うのですが、これでもまあまあ大丈夫です。高さも角度も自由自在なので我ながら良いことを考えたものだと思っています。




名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。