マイクロスコープのライトをハロゲンからキセノンへ

マイクロスコープのライトシステムをハロゲンからキセノンにアップグレードしました。
6月から着手した撮影システムとライトシステムの更新がやっと完成しました。
安価なメーカーのマイクロスコープなら2台買える金額になりました(涙)。
ただ、当院の最大の武器はマイクロスコープですから、ここは妥協するわけにはいきません。
God is in the details.
神は細部に宿る。

 

ハロゲンライト
もちろん肉眼で見てこんなに暗いわけではありません。対比のために露出を故意にアンダーにしています。ISO 200 ƒ/14 1/200   90mmです。

 

キセノンライト
上の写真より引いているのに、露出オーバーでハレーションをおこしています。 勿論上の撮影設定と同じ。ISO 200 ƒ/14 1/200   90mmです。光の色も太陽光に近いです。嬉しい。また見えなかったものが見えてくる。マイクロスコープ本体に絞りが付いているのですが、これだけ明るければ常に絞っておけます。被写界深度が深くなります。素晴らしい。


 

なんとメーカー純正のサングラスが付属してきます。アシスタントが眩しくて辛いらしいのです。決してスタッフが強面になったわけではありません(^^;)。


光学系はライティングがとても重要です。明るさは勿論ですが、光軸も同様に大切です。なるべく視軸と光軸が同軸に近い方が良いのです。

下のライトはインプラントのオペ用に導入した無影灯です。

医科用でとても明るく照射野も広いのですが、下の小さなLEDライトに全くかないません。

 

視軸と光軸が近いからです。ライトがないルーペは性能の半分も出ていません。ライトは必須です。
ユニットのライトは必要なくなります。アシスタントワークもずっと軽減されます。

 

そしてこれがマイクロスコープの対物レンズです。白っぽく写っている下の丸いところがライトです。この配置にも光学的な理由があったはずですが忘れちゃいました。

ところでマイクロスコープはランニングコストがほぼゼロです。ライトの電球が切れた時の交換代くらいなのです。たぶんハロゲンライトは数千円です。キセノンの寿命はほぼ500時間なのだそうですが、ランプ交換十数万だそうです。アハハハ。

 

 

 

下顎第一小臼歯2根管

下顎第一小臼歯は通常は1根です。

下の画像は治療途中で当院への転院の方です。根尖をカットしてしまった恥ずかしい術前のレントゲンです(汗)。

 

仮封材を外し汚れを綺麗に取り除くと、ガッタパーチャ、つまり根充済みの根管口の位置が中心から偏位しています。怪しいので更に探っていくと舌側に根管口らしき痕跡を発見しました。

 

ミラー像で解りにくいと思いますが、ファイルを根管に通した画像で、グレーのヘッドのファイルは08です。根尖孔まで到達しました。以前も書きましたが、未処置の根管は治療しやすいのです。これが変に触られた後だと格段に難易度が増します。途中に引っかかりを作ってしまって簡単には根尖まで届かないことが多くなります。

 

根管口を明示したところ。

 

根充前

 

いろんな歯があります。これは矯正のために抜歯した下顎第一小臼歯です。
2根3根管です。

 

 

ヘミセクション

 

下顎6番が腫れて来院。近親根に沿うように透過像があります。これは歯根破折が強く疑われるレントゲン像です。

コアを除去すると、顕微鏡を使用するまでもなく破折線が確認できました。患者さんに説明するために染色して撮影しましたが、顕微鏡を使わないで撮影しても無駄でした。肝心の破折線が良く見えません。

近親根だけ抜歯しました。遠心根は保存予定です。

根尖病変はいまや抜歯の対象ではありません。しかし歯根破折は(いろいろな説はありますが)抜歯です。したがって、長期的な歯の保存には如何に歯根破折を避けるかということが重要になります。しかしこの歯は過剰な切削が行われているわけでもなく、前後に歯も残っているわけで、これを予防する方法は今のところないと思います。