サイナストラクトとかMB2(近心頬側第2根管)とか感染とかのこと

上顎6番のサイナストラクト(フィステル)。

3本の根のうちで、向かって右に写っている根(近親頰側根)の先が怪しい感じです。
根管充填はちゃんとしてありますが、肝心な根管への感染防御をしていないという、間違い根管治療の典型です。

クラウンを外して全く接着していないレジンコアを外すと中は悪臭がして、真っ黒に汚れていました。青丸の中に見逃されて未処置のMB2(近親頰側第二根管)がありましたが、感染さえさせなければ問題は出なかったと思われます。

感染防御をしないで、つまりラバーダムや隔壁をせず、感染歯質を残したまま根管を大きく拡大してガッタパーチャを加圧根充するのは無意味です。再治療になってしまった場合には担当医にとっては迷惑です。
感染が根尖病変を作り、必要以上の拡大が歯質を薄くして破折の危険を大きくし、除去が難しいガッタパーチャが再治療を困難にします。根管治療の古いパラダイムを捨て去ればトラブルはずっと少なくなります。マイクロスコープやニッケルチタンファイルよりも遙かに重要な基本事項があります。

さて、近心頬側根から根充剤を除去していきます。真っ黒です。

変色の機序は解りませんが、感染したガッタパーチャはこのように黒くなっていることがあります。(別症例)バイオフィルムです。

ある程度除去した後、近心頬側第2根管(MB2)の根管口からファイルを挿入します。未処置の根管なので抵抗なく入っていきます。

根管口を明示します。

強拡大

近心頬側第1根管と近心頬側第2根管の間に、筋のようなものが見えます。イスムスと呼ばれる氷河のクレバスのような溝です。この部分も感染していますが、削り取ると歯根の強度が下がるため悩み所です。

削らない場合は有機質を解かす薬液で超音波洗浄します。アコースティックストリーミングとキャビテーションという現象を利用します。
下の写真は根管洗浄専用のイリゲーションチップ。薬液を満たした根管内で振動させます。

長いですね。こんなの最後まで読むのは歯科医師だけですね(汗)。
歯科医師にブランディングしても無意味ですね(滝汗)。
というわけで、続きはまたいずれのココロだ〜(小沢昭一的表現)。

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